映画「シービスケット」をDVDレンタル。3人の男と1頭の馬にまつわる実話をもとにした物語。この作品も、劇場で見たかったんだけど見れなかったので、ようやく遅ればせながらレンタルして見たよ。
【あらすじ】
1929年の大恐慌以降、アメリカは苦難の季節を迎えていた。自動車販売で成功したものの、息子を事故で亡くし、妻にも去られた大富豪ハワード(
ジェフ・ブリッジス)。開拓時代の終焉により、時代遅れのカウボーイとなったトム・スミス(
クリス・クーパー)。一家離散の憂き目に合い、草競馬のジョッキーに身をやつした青年レッド(
トビー・マグワイア)。人生の辛酸をなめていた3人の男は、運命の糸に導かれるようにして一頭のサラブレッドに出会う。その名はシービスケット。彼らと同じく運に見放された小柄な馬だった…。
今年のオスカー戦線の有力株に挙げられている本作は、400万部を超えるベストセラー・ノンフィクションの映画化作品。アメリカ競馬史に輝く名馬シービスケットと、その活躍を支えた3人のホースマンの物語。これが実話であることに疑問の余地はない。創作にしては出来過ぎているからだ。実は本作が描いているのは、一頭の馬を通して見つめたアメリカの文化史である。
この作品が描いている歴史的背景。米国が近代へと流れていく中、その流れに逆らう者、その流れに乗れない者、その流れに飲み込まれた者。この3人が映画に登場してくる。そして、彼ら3人が出会ったのが、小柄で気性の荒いシービスケットという馬だったわけだ。彼らはシービスケットを愛し、シービスケットによって自分達の人生を歩んでいく。
もちろん、落ちぶれてしまった人間や、ダメ人間といわれた者が、ある一つの出会いと、自らの頑張りで、人生を輝かせていく様は感動的なのは間違いない。それは映画だけでなく、漫画や小説でも王道といわれる部類に入るだろうから。
ただ、この実話をなぜ今、作ったのかという背景を考えると、今という時代が見えてきて、面白い。超知識労働社会に突入し、映画で描かれている当時と同じように、流れに逆らう者や流れに乗れないもの、流れに飲み込まれてしまった者が、増えてきているのは事実だし、いつ自分がそういう状況におかれるとも分からない。極端に言えば、アメリカでは既に、裕福な者たちとそうでない者たちの2分化が進んでると思うし、日本もじきにそうなっていくだろう。
2004年、日本では韓国ブームが起き、そしえ映画界では純愛ブームが起きた。ピュアなものに目を向けたいし、無垢な自分を懐かしみ、一種の羨望を、観客達がもっているのかもしれない。ようは、自分自身は、そういう状況にないってことだ。みんな、少なからず、自分が望む人生と逆の方向に生きているのだろう。もちろん、僕もそうだけど。
ただ、自分がかつてもっていた無垢でピュアな部分を懐古する時期が終わったら、今度はどんな作品にみんながはまっていくのだろうか。自分の身近な人間だけでも幸せあれと願うのだろうか?なかば人生はこんなものとあきらめるのだろうか?それとも自分と対極的に生きるものに羨み、時に妨害したいとさえ思うのだろうか?
2005年の映画ラインナップは、おそらくコケルと思う。時代にあわないものが多い。でも、純愛の次にくる観客の状況を予想できれば、2006年の映画は期待できる。